2022年3月17日

髙島会長記者会見(三井住友銀行頭取)

岩本専務理事報告

 昨晩に発生した令和4年福島県沖を震源とする地震の影響等について、2点報告する。
 1点目は、全銀システム、でんさいネット、その他全銀協および関係法人の運営するシステム等に問題はなく、また、事務局が把握している情報では、被災地を含む各地の手形交換は通常どおり完了している。
 2点目は、先ほど関係当局から、今般の災害等における被災者等支援に関する金融上の措置についての要請があった。これを受けて、今後速やかに、会員各行に対して、被災者の状況に応じて適切に対応するよう周知徹底を図ることとしている。

 

会長記者会見の模様


 これから質問を承る前に、私から2点申しあげたい。
 まずは、昨晩の福島県沖を震源とする地震について、お亡くなりになられた方々に対して慎んでお悔やみを申しあげる。同時に、被災された全ての方々にお見舞いを申しあげる。各所で被害状況の確認が行われているところであるが、銀行界としては被災された方々の状況に応じてきめ細かく、柔軟かつ迅速な対応を行って参る。
 次に、ウクライナ情勢について一言コメントさせていただきたいと思う。
 2月24日以降、ウクライナ情勢は深刻化の一途をたどっており、私ども銀行界としても深く憂慮すべき事態と受け止めている。多くの方々が家族と生き別れ、生命や平和な日常を脅かされており、深い悲しみを覚える。犠牲となられた方々に心より哀悼の意を表す。
 私ども銀行界としては、一日も早い平和的な解決を切に願うとともに、日本政府や国際社会ともしっかりと連携を取りながら、適切に対応して参りたい。


(問)
 3点質問させていただく。
 一つ目は、ウクライナ情勢に関する所見を伺う。SWIFTからの排除や、ロシアの中央銀行との取引制限が始まった。このことにより、ロシアに進出している日本企業の活動や、それを支えてきた邦銀のビジネスに与える影響をどのように捉えているか。
 二つ目は、本日未明に発表されたFRBの金融政策について。0.25%の利上げが決定されたが、米国の長期金利の上昇が銀行ビジネスにどのような影響を与えるのか。また資源価格の高騰を背景としたインフレの抑制にFRBの利上げがどこまで効果があると思うか、会長の見解を伺いたい。
 三つ目は、今月4日に「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」が公表された。全国銀行協会として改めてこのガイドライン策定の意義と、今後どのようなかたちで活用してもらいたいかをお伺いしたい。
(答)
 一つ目はロシア・ウクライナ情勢についてのご質問であった。
 まず、SWIFT遮断の影響だが、3月12日付でロシアの銀行7行とその関連会社がSWIFTから遮断されたため、これらの銀行などを相手方、あるいは中継銀行とする海外送金の取扱いができなくなっている。また、3月9日に決定されたEUの追加制裁により、今後、ベラルーシの銀行3行についてもSWIFTから遮断されることになる。
 また、SWIFTから遮断されていない銀行との取引であっても、各国の制裁への抵触がないかのチェックに通常よりも多くの時間を要したり、中継銀行等のポリシーによっては別の中継銀行への変更が発生することでさらに時間を要したり、その送金の取扱い自体が難しくなるという事例も出てきている。これに伴い、ロシア関連の貿易取引やロシアに進出しておられる現地日系企業のオペレーションにも影響を及ぼす可能性があり、すでに一部影響が出ているということかと思う。そのため、各行において、お客さまと従来以上に丁寧なコミュニケーションを心掛けていくことが重要であると認識している。
 ロシア連邦中央銀行に対する資産凍結については、各国の制裁内容にもとづいて、各行において適切な措置を講じていると認識している。
 ここまで申しあげたのは、あくまで現時点での影響であり、事態は日々刻々と変化していることから、今後も最大限の注意をもって、予断なく情勢を注視する必要があろうと考えている。
 次は二つ目、3月16日のFOMCの結果を受けての質問。昨日開催されたFOMCでは、政策金利を0.25%引き上げることが決定された。同時に公表されたFOMCメンバーの政策金利見通し、いわゆるドットチャートをみると、1回当たり0.25%とした場合、年内に7回程度の利上げが見込まれており、年内に3回だった前回12月の予想対比、利上げペースの加速が必要との見方が増加している。
 なお、今回の利上げ幅自体は、3月2日の議会証言で、すでにパウエル議長が強く示唆しており、その意味ではサプライズはない。他方、ドットチャートで示された利上げペースは市場コンセンサスを上回るものであったことや、パウエル議長から、早ければ5月にもバランスシートの縮小を開始する旨の言及があったことなども材料視されて、足元、米国債の金利は短中期の年限を中心に上昇している。
 銀行ビジネスへの影響については、以前の会見でも申しあげたとおり、短期的には保有債券の評価損益が悪化するといった影響がある一方で、銀行全体で見た場合には、金利上昇の背景が景気回復にある限りにおいて、基本的にはプラスになる。今回のFOMCにおいても、景気の回復、あるいは雇用情勢の堅調さが改めて確認されている。ただし、地政学的リスクの上昇に伴い、全般にリスクオフの地合いにあることに加え、資源価格の高騰や、短期金融市場におけるドル調達コストの上昇など、足元、銀行ビジネスを取り巻く環境はさまざまな要因が複雑に絡み合う様相となっており、長期金利の上昇だけを取り出して影響を申しあげるのは、なかなか難しい局面になっていると思う。
 利上げのインフレ抑制効果については、供給面、需要面で分けて考える必要があろうかと思う。地政学的リスクの上昇に伴う資源価格の高騰やコロナ禍によるサプライチェーンの混乱、あるいは労働力不足など、供給面に起因する物価上昇圧力については、一般的に金融政策だけでコントロールすることは難しい。他方、これまで低金利の追い風を受けてきた住宅投資、耐久消費財の増勢が落ち着くことにより、需要面からのインフレ圧力が和らぐことが想定される。
 足元、GDP成長率やインフレ率の内訳推移をみると、需要面の回復が鮮明化していることから、効果を発揮するまでにタイムラグはあると思うが、トータルで見ればインフレ抑制効果は出てくるのではないかと考えている。
 最後は、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に関する質問であった。新たなガイドラインの意義を端的に申しあげると、中小企業・金融機関双方にとって指針となるような事業再生等に係る基本的な考え方を示すとともに、私的整理手続きの新たな選択肢を提供したという点にあると考えている。
 新たなガイドラインでは、まず、中小企業の事業再生を支援していくに当たっての基本的な考え方、具体的には「平時」、「有事」の各段階において、中小企業、金融機関それぞれに期待される役割や対応を明確化して示した。これにより、中小企業と金融機関が共通の認識の下、一体となって事業再生等に取り組むことができるようになることを期待している。
 次に、中小企業向けの新たな私的整理手続きを定めた。この新たな手続きは、一定の適格性を有する第三者支援専門家の知見・経験を有効活用することに大きな特徴があるが、それに加えて、再生支援開始の要件、事業再生計画に盛り込むべき数値基準、経営責任の考え方などについても、中小企業の実態を踏まえた内容となるよう工夫を施したものとなっている。この手続きを活用することにより、中小企業の事業再生がより迅速、かつ円滑に行われることを期待している。
 会員各行においては、お客さまの資金繰り支援はもちろんのこと、新たなガイドラインの趣旨・内容についてもしっかりと理解いただき、日々の実務で活用いただくことにより、中小企業の再生支援に繋げていってもらいたい。


(問)
 質問が2点ある。まず1点目だが、ロシア・ウクライナ情勢の悪化や制裁等によって、日本国内でも対露ビジネスを展開する企業を中心に影響が出ていると思う。こうした企業への資金繰り支援に関する銀行界としての考えを伺いたい。
 2点目は、事業再生ガイドラインについて。都市部では私的整理に精通する人材が豊富だと思うが、地方ではそのような人材が不足しているという懸念もある。そのような状況において、地方も含めてガイドラインの実効性をどのように高めていくつもりか、考えを伺いたい。
(答)
 まず一つ目、ロシア・ウクライナに関するご質問である。銀行界では、新型コロナウイルス感染症の拡大初期から一貫して、お客さまの資金繰り支援を最優先で取り組んできた。新型コロナウイルス感染症の影響は2年という長期にわたっているが、それに加えて、ご指摘のとおり、足元ではロシア・ウクライナ情勢の悪化や原油価格の上昇などにより、多くの事業者に対するさらなる影響が懸念されるところである。
 現時点で、それらが各企業にどの程度の影響を与えるのか、正確に見通すことはなかなか難しいが、引き続き、事業者の業況を積極的に把握し、資金繰りをはじめとする相談に丁寧に対応していく。これはコロナに起因する対応と同じであり、事業者のニーズに応じたきめ細かな支援を徹底していくことが必要だと考えている。
 2点目は、事業再生ガイドラインに関して、第三者支援専門家の地域偏在性についての質問であったと理解した。第三者支援専門家の候補者については、中小企業再生支援全国本部と事業再生実務家協会がリスト化して頂けることになっており、現時点で全銀協として、地域偏在性があるかどうかを含めて具体的にコメントするのは難しい点をご了承頂きたい。
 そのうえで申しあげると、今までの私的整理手続きにおいても、東京や大阪といった都市部の専門家の皆さまが地方の案件を支援しているケースも多々あると聞いており、ご指摘のように、地方より都市部に専門家が多いなど一定の偏在が発生していたとしても、手続きの実効性を損なうほどの問題になることはないのではなかろうかと考えている。
 コロナ禍以降、デジタルチャネルを通じたコミュニケーションの機会が飛躍的に増大していることは皆さまもご認識のとおりである。第三者支援専門家の役割、すなわち事業者からの相談や事業再生計画の検証、調査報告書の作成といった対応も、こうしたツールを通じて一定程度可能だろうと考えられる。最近は債権者会議がオンラインで開催されることも多くなっているのが実態である。第三者支援専門家が都市部に偏在することだけをもって、地方の案件への対応力が著しく損なわれるということではないのではないか。
 ただ、ご指摘の手続きの実効性という視点は、当然のことながら非常に重要であり、関係省庁、関係機関ともよく連携した上で、全銀協としてもガイドラインの実効性を向上させていくためにどういうことが必要かということに引き続き意を配って参りたい。


(問)
 ウクライナ情勢の質問だが、欧米の主要銀行が次々に対ロシアビジネスから撤退を表明している。今回のロシアによるウクライナ侵攻は人道的な問題としても捉えることができると思うが、日本の銀行界として対ロシアビジネスに対するスタンスを教えてほしい。
(答)
 まず、現下の情勢に関する考え、想いは先ほど冒頭に申しあげたとおりである。
 そのうえで、今後のロシアビジネスに対する方針やスタンスについてのご質問をいただいたが、これは各行の経営判断に属する事項であるため、全銀協としてお答えするのはなかなか難しく、適切ではないのではないかとも思う。
 したがって、あくまで一般論として申しあげると、私ども銀行は、全銀協行動憲章にも銘記しているとおり、銀行の持つ公共的使命の重みを常に認識し、健全な業務運営を通じて、ステークホルダーひいては社会からの揺るぎない信頼の確立を図る必要がある。
 そのうえで邦銀であれば、特に日系企業のお客さまへの対応・支援は当然考慮しなければならない事項であり、仮にお客さまがロシアビジネスから撤退を検討される場合においても、金融面でのサポートは引き続き必要になってくる。
 対ロシアビジネスの方向性は、そうした役割やお客さまへの影響、我々の現地従業員のことなど、さまざまな状況を見極めつつ、各行において適切に検討されていくものと理解している。
 銀行界を取り巻く状況も刻々と変化しており、邦銀各行においても、引き続き最大限の注意を持って、予断なく情勢を注視されていくものと考えている。


(問)
 ロシア関連で1点お伺いする。プーチン大統領が対外債務の返済条件を変更する大統領令に署名するなど、かなり不透明感が増しているかと思う。そのようななかで、ロシア向け債権の回収について懸念などあれば、お考えをお聞かせいただきたい。併せて、ロシア国債の格下げ等に伴うクレジットコストへの影響、今後の見通しについてもお願いしたい。
(答)
 ロシア向けの債権額やポートフォリオの構成などは各行ごとに異なるため、あくまで一般論としてお答えする。
 ロシア向け債権の回収やクレジットコストへの影響という点については、大きく分けて二つの観点から考える必要がある。
 1点目は、ロシア向けエクスポージャーに関する信用リスクである。これはロシアのカントリーリスクと個社の信用リスクから構成されるが、カントリーリスクについては、先般もS&PやMoody'sがロシア国債の格付を大幅に引き下げており、リスクが著しく高まっている状況にある。こうしたカントリーリスクの高まりは、クレジットコストにも一定の影響を及ぼす。個社の信用リスクについては、一概に申しあげることはできないが、足元の状況を踏まえて、適時適切にリスク評価を見直し、慎重に個別対応していく必要がある。
 もう1点留意しなければならないポイントは、元利金の返済に係る決済ルートである。ロシアの複数の銀行がSWIFTから遮断されたことにより、当該銀行を経由する外国送金は受領できない。そのため、クロスボーダーで行われている与信において、これらの銀行を経由して元利金の返済を受けていた場合は、各国より発出されている経済制裁を遵守しつつ、これまでとは異なるルートを通じて元利金の回収を図る必要が生じるといった影響がある。
 さらに加えて、ロシア国内では、ご指摘のとおり、対ロシア制裁への対抗措置とみられる大統領令が断続的に発出されている。その適用対象や内容については、まだ不明確な部分も多く、現時点でその影響について確たるコメントをすることは難しいが、これらの影響を慎重に見極めていく必要がある。
 いずれにせよ、状況は刻一刻と変化しており、先行きの不透明感は非常に高い。各行が各国による経済制裁等を踏まえ、影響分析をしっかりと行うとともに、慎重に対応を検討していく必要があると認識している。


(問)
 2問ある。いずれもこれまで髙島会長がお答えされたものと若干重なるかもしれず恐縮だが、1点目は、SWIFT除外・排除の制裁で一部影響が出ているとのことであるが、個別行の事例でもいいので、もう少し具体的に示していただけるものがあれば教えてほしい。
 2点目は、ロシア国債のデフォルトリスクが高まっているが、これが銀行ビジネスや銀行が提供する運用商品にどのように影響するかについても具体的に示していただきたい。
(答)
 海外送金に関するやりとりは銀行間で電文を使って行っており、この電文をやりとりするための国際的なネットワークがSWIFTである。
 SWIFTから遮断された銀行とは電文のやり取りができないので、これらの銀行を送金相手や中継銀行とする送金を取り扱うことができないということになる。そのため、日本とロシアの間で送金を実行しようとする場合には、各国の制裁を厳格に回避しつつ、SWIFTから遮断されていない銀行とやり取りを行う必要がある。
 私ども三井住友銀行の例で申しあげると、制裁への抵触有無の確認に時間がかかる可能性や、銀行間の資金決済に通常よりも時間を要する可能性、はたまた最終的にその送金を取組めない可能性等が生じている。
 お客さまの海外送金の背景となる取引は、貿易取引や日系企業の現地事務所における諸経費の支払いなど、さまざまなものがある。そのため会員各行は、SWIFT遮断が判明して以降、影響が及ぶ可能性があるお客さまには事態をご説明し、送金経路の検討など、適切な善後策を検討いただけるように努めている。
 お客さまの側でも現地取引先との交易条件を変更する、あるいは仕向銀行と被仕向銀行を変更するなどの対応をされており、現時点では海外送金の現場で大きな混乱が起こっているということでは必ずしもないと認識している。
 しかしながら、先ほどから申しあげているとおり、刻一刻と情勢が変化していくなかにあるので、今後影響が拡大していく可能性も否定できない。
 引き続き、お客さまとの丁寧なコミュニケーションが一番大事であり、丁寧なコミュニケーションを心掛けたうえで、適切に対処していくように努めるということだと思う。
 もう一点は、ロシア国債のデフォルトリスクについての質問であった。BIS(国際決済銀行)のデータによれば、本邦金融機関のロシア向けエクスポージャーは、2021年9月末の時点で、全体で92億ドルとなっており、総与信に占めるロシア向けの比率は0.2%程度である。さらにロシア国債そのものへのエクスポージャーとなると、より限定的なものになると認識している。
 そのため、ロシア国債のデフォルトリスクがわが国の金融システムに直接的に深刻な影響を及ぼすとは見ていない。一方、先ほども申しあげたが、ロシア国債のデフォルトリスクの高まりは、ロシア向けのエクスポージャー全体の信用リスク、ひいてはクレジットコストに一定の影響を及ぼす。そうした波及的な影響や、今後の実体経済への幅広い影響については、細心の注意を払って見ていく必要がある。
 また、運用商品への影響について申しあげると、銀行が取り扱っている投資信託などのなかにも、ロシアの債券を投資対象として含む商品はあるが、その組入比率はわずかである。一部、ロシア向けの投資をメインとした商品も存在するが、投資信託の残高全体に占めるロシア国債等の比率は限定的なものであると認識している。
 ロシア向けの投資をメインとした商品のなかには、すでに運用会社によって売買が停止されている商品もあるほか、インデックス算出会社がベンチマークとなる各種指数からロシアの債券・株式等を除外する動きも出ている。
 会員各行においては、該当する商品を保有されているお客さまに対して適時適切な情報提供を行うなど、丁寧なフォローアップを行っていくことが重要であると考えている。


(問)
 3点伺う。1点目は、ロシア・ウクライナ情勢について。各国の制裁を受けてロシア向けの送金を一律停止する銀行もあれば、引き続き受け付けている銀行もある。どの銀行が送金を受け付けているか、顧客にとっては分かりにくい状況となっているが、業界として何か顧客のためにできることはあるか。
 2点目は、制裁を回避しつつ、さまざまなルートを通じてロシア向けの送金を続けている銀行があることに関して。AML/CFTの観点で懸念はないのか。全銀協として会員行向けに注意喚起などを行っているか。
 3点目は、金融庁がバーゼルIIIの国際統一基準行への適用時期を延期する見通しになっているが、受け止めと、想定される影響を教えていただきたい。
(答)
 最初はロシア・ウクライナ関連のご質問であった。ロシア向けの決済に対する取組方針が銀行によってさまざまであるということは事実である。それがお客さまにとって分かりにくいというご指摘は真摯に受け止めたいと思う。しかしながら、各行ごとに対応が異なる原因というのは、そもそも海外送金の仕組みによる部分が大きいので、少しご説明させていただく。
 海外送金は国内送金とは異なり、資金決済を集約する機関が存在しない。そのため、銀行間でコルレス契約を個別に取り交わしたうえで、資金決済用の口座をお互いに開設し、個別に決済を行っている。そのためのメッセージをやりとりするのがSWIFTである。
 コルレス契約をどの銀行と取り交わすのかは、各行がそれぞれ、自らを取り巻く事業環境、あるいは具体的なお客さまのニーズを踏まえて個別に決めている。こういった背景から、それぞれのコルレス契約の状況に応じて、海外送金の取組方針も自然と各行ごとに異なってくる。また、通貨毎にそれぞれ中継銀行が異なり、その中継銀行ごとにも取組方針が異なってくるので、今回のような事態が起こると、確認に時間がかかる、あるいは結局送金が取り組めないという事態が発生することに繋がり、利用者から見るとますます分かりにくくなる面がある。
 こうした枠組みのもと、各行においては、各国の制裁措置に遺漏なく対応しつつ、お客さまの送金ニーズに可能な限りお応えすべく努力を続けているわけだが、分かりやすさという観点では、やはり各行がそれぞれの取組方針にもとづき、丁寧に状況を説明するということに尽きるのではないか。
 全銀協としても、すでに通達等で会員各行に徹底を図っているものの、引き続き業界を挙げてお客さまとの丁寧なコミュニケーションに努めて参りたい。
 2点目は、AML/CFTの観点で懸念はないのかというご質問であった。ロシアの一部の銀行がすでにSWIFTから遮断されていることから、通常とは異なる決済ルートを通じた送金が想定されるが、そうした送金についてAML上の懸念はないのかというご趣旨であった。
 各行においては、どのようなルートを経由する送金であっても、随時更新される本邦の外為法や米国OFAC規制など、各国の規制に抵触しないことを確認するため、送金内容、送金目的、送金先などを丁寧に精査したうえで送金処理を行っている。制裁対象取引は厳格に回避する必要があり、AML上の懸念がある中で送金を行うようなことはそもそもあってはならない。AML/CFT上のしっかりとした検証があって初めて送金できるというのが大原則である。
 足元の情勢を踏まえて、各国の規制が刻一刻と強化されるなかにおいて、全銀協としても、会員行に対して、情勢の変化および当局などが発信する情報に注意する必要性を呼び掛けるとともに、お客さまへの影響が想定される場合には、お客さまに向けて適時適切にお知らせするよう、通達にて周知を行っている。引き続き、会員行に対する適切なサポートを行っていく考えである。
 3点目は、バーゼルIIIの適用時期に関してのご質問であった。
 バーゼルIIIは、国際合意上、2023年からの適用が目指されていたが、新型コロナウイルス感染症の長期化などを受け、海外では、ルール策定作業の遅れや金融機関の十分な準備期間の確保という観点から、適用を延期する動きが出てきているものと承知している。
 こうした現状に鑑みると、本邦におけるバーゼルIIIの適用にあたっては、国際的に活動する本邦金融機関の公平な競争条件の確保の観点も踏まえる必要があると考えている。
 報道にあった延期方針は、そうした観点も踏まえご検討いただいているものだと受け止めている。
 影響については、公平な競争条件の確保に加え、円滑な適用開始に向けた実務的な準備の余裕が生まれるという面もあると考えている。


(問)
 ロシアのウクライナ侵攻に関して、グリーン市場への影響をお伺いする。市場環境の悪化から、国内外でグリーンボンド発行の延期が相次いでいる。グリーンファイナンスが本格的に拡大する局面で延期を余儀なくされているが、国内におけるグリーンファイナンスへの影響をどのようにお考えか。加えて、現時点ではボンドの発行延期というかたちが多いが、今後、金利上昇もあり、資金調達手段がローンに流れる可能性は想定されるか。
(答)
 ご指摘のとおり、特に欧州では、ロシア・ウクライナ情勢の深刻化に伴い、全般的に、投資家のリスクセンチメントが悪化している。それらも一因として、グリーンボンドも含めた社債市場全体として、起債に慎重な姿勢が見られる。
 グリーンファイナンスを含む資金調達環境の停滞が長期化すると、2030年/2050年に向けた脱炭素への取組みを進める企業の資金調達に影響が生じる可能性はあるかと思う。
 他方で、気候変動対策や脱炭素化の進展は、エネルギーの他国依存等の低減につながるなど、エネルギーに係る経済安全保障に資する面もある。先日、IEA(国際エネルギー機関)も「EUの天然ガスのロシアへの依存を削減するための10の計画」を提言し、そのなかで、エネルギー転換や省エネなど、脱炭素化の取組みが非常に重要な鍵になると指摘している。
 したがって、短期的には社会情勢のさまざまな要因の影響を受けたとしても、長期的に見ると、脱炭素に向けた取組みが進むにつれて、グリーン市場もさらに拡大していく流れは変わらないと考えている。
 足元のように社債市場が不安定になっている場合には、ご指摘のとおり、グリーンに限らず、一時的にボンドからローンに流れていくという傾向はあり得ると思う。
 ただし、例えば日本のマーケットについて見てみると、ポートフォリオの脱炭素化の流れもあり、ESG債については長期保有する投資家が比較的多く、大きな影響はないのではないかと思う。
 いずれにしても銀行界としては、エンゲージメントを通じて、お客さまにとって最適と考えられるファイナンスなどのソリューションを提供していく所存である。引き続き世界情勢と市場動向を注視しつつ、推進していきたいと考えている。


(問)
 廃業について伺う。事業再生ガイドラインでは、廃業型私的整理手続を策定された。また、経営者保証に関するガイドラインでは、廃業時における基本的な考え方をまとめられた。銀行界はこれまで廃業についてはあまりお話しされてこなかったが、考え方をまとめられた背景や経緯について伺いたい。
 加えて、廃業支援も銀行界に求められる支援の一つかと思うが、この点についてご見解をお願いしたい。
(答)
 ご指摘のとおり、今回新たに策定したガイドラインのなかで、廃業型私的整理手続を定めるとともに、経営者保証ガイドラインについても、廃業時における考え方を明確化した。
 まず、廃業型私的整理手続についてであるが、これは研究会において、事業者や弁護士の方々から、経営者の再スタートなどを支援していくためには、廃業に関する予見可能性を高めることが重要であり、そのためにも透明性のある手続を定めることに意義があるという意見をいただき、それを受けて策定したものである。従業員の転職機会の確保や経営者の再スタートなどのために、事業者の方々が自ら廃業を希望する場合に利用、参照することを想定している。
 次に、「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」についてであるが、中小企業が廃業を決断するに至った場合でも、個人保証を提供している経営者は、経営者保証に関するガイドラインを活用することにより、破産手続を回避し得ることは、すでに現行のガイドラインにおいても示されている。今回、そうした考え方を改めて周知するとともに、その際に求められる関係者の対応について明確化すべく、基本的考え方を取りまとめた。
 事業者や保証人が新たなスタートに早期に着手できるよう、銀行界としても、事業者の意向やニーズに沿った支援を行っていく必要があり、そのように動いていきたいと考えている。


(問)
 これまでの髙島会長の話と重複する部分もあるが、ウクライナ情勢の観点から二点お伺いしたい。
 1点目はSWIFTについて。SWIFT以外にも、中国のCIPSなどの決済手段があり、制裁の抜け穴になる可能性が指摘されているが、ご見解を伺いたい。
 また、ロシア・ウクライナ情勢の悪化による金融マーケットや経済への影響、見通しについてもご見解を伺いたい。
(答)
 1点目は、制裁の抜け穴とのご指摘であるが、制裁内容については、あくまで各国政府においてさまざまな検討をされたうえで措置されているものなので、全銀協として見解を申しあげる立場にないということをまず申しあげたい。
 しかしながら、SWIFT以外の決済手段について触れて頂いたので少しだけコメントさせていただく。
 ご指摘のとおり、国際的な送金ネットワークとしては、SWIFTの他にも、中国人民銀行が導入した人民元建ての決済システムであるCIPSなどが存在している。
 SWIFTとCIPSをネットワーク規模で比較すると、SWIFTの接続機関が11,000を超えているのに対して、CIPSの接続機関は、今年2月時点で1,288となっており、非常に大きな開きがある。またCIPSは、取扱通貨が人民元に限定されているのに対して、SWIFTは取扱通貨が限定されていない。こうした点を踏まえても、両者のネットワーク規模には相当の開きがある。
 また、足元では暗号資産を使った海外送金サービスなども登場しているが、いずれもSWIFTに並ぶほどのネットワーク規模には至っていないというのが実態である。こうした点を踏まえても、国際送金におけるSWIFTの位置づけは非常に大きく、現時点でSWIFTの機能の大宗を他の手段によって代替するのは容易ではないと思われる。
 2点目は、マーケット、経済への影響というご質問であった。金融市場においては、日米欧の株価が年初から10%以上下落する局面があるなど、市場参加者のリスク回避的な動きが出ている。CD・CP市場などでもドル調達コストの上昇が見られ、調達環境はタイト化している。現時点で外貨調達自体に大きな支障はないが、引き続き、金融市場の変化には十分に注視していく必要がある。
 商品市況をみると、ロシアからの供給不安の高まりに伴い、欧州の原油市場の指標である北海ブレントが2008年以来の高値を付けるなど、資源価格や食料品の原材料価格が高騰している。足元、欧州では5%、アメリカでは7%を超える消費者物価上昇率に一段の上昇圧力が加わることが懸念されている。
 実体経済への影響では、わが国とロシアとの直接の貿易取引について、2021年の貿易統計をみると、輸出金額は8,624億円で、輸出全体に占めるシェアは1%程度、輸入金額は1兆5,489億円と輸入全体に占めるシェアは1.8%程度であり、いずれも規模としては限定的なものである。ただし、品目別に見ると、ロシア向けの輸出の4割を自動車が、輸入の6割は液化天然ガスを含めた燃料が占めており、これらの業界では貿易取引の停滞による影響が懸念される。
 わが国経済への影響は、ロシアとの経済的な結びつきが強い欧州などと比較すると、貿易・金融取引における直接的な影響は限定的である一方、エネルギー分野においては海外からの輸入に依存していることから、資源価格の高騰が長期化した場合、エネルギー価格を中心にインフレ圧力が高まりやすい構図にある。その結果、コストの転嫁が進まないことによる企業業績の下押し圧力や、ガソリン、電気代の値上げに伴って、個人消費に悪影響を及ぼすおそれがあることから、企業や家計のセンチメントの変化にはよく目配りをしていく必要がある。


(問)
 2点お伺いする。サイバー攻撃に関して、ロシア・ウクライナ情勢等を受けサイバー攻撃のリスクが高まっている。国内でも実際に大きな被害が確認されており、銀行界としてのサイバーセキュリティの取組状況や考え方を改めて伺いたい。
 もう1点はサステナビリティ開示基準について。現在、IFRS財団が設けたISSBが非財務情報開示の基準策定に向けて動いているのと同時に、日本においても国内基準などを検討するサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が設立準備に向けて議論を始めている。この非財務開示基準の策定において重要だと考えるポイントや、金融機関を含む日本の企業にとって望ましい適用のあり方について考えを伺いたい。
(答)
 1点目は、サイバーセキュリティに関して。これは重要なポイントであると思う。ご指摘のとおり、組織化されたサイバー攻撃の増加やランサムウェア攻撃の複雑化・巧妙化、あるいは足元の国際情勢の流動化等に伴い、大規模なサイバー攻撃が発生するリスクは高まっていると思う。
 私ども銀行は、国民生活や経済活動への影響が大きい重要な社会インフラであり、その機能が停止または低下した場合には多大な影響を及ぼしかねないので、多くの銀行がサイバーリスクをトップリスクの一つとして挙げ、重点的に対策を講じている。
 銀行界としてのサイバーセキュリティ強化に向けた取組みは、各行による「自助」の取組みが前提になることは言うまでもないが、日々変化する情勢に対応していくためにも、情報収集は不可欠である。そのため、「共助」の取組みとして、関係当局の支援のもと、全銀協が中心となり、情報共有の枠組みである「銀行等セプター」を運営するとともに、分野横断的な情報共有の場である「セプターカウンシル」にも参画している。
 こうした「自助」、「共助」のほか、これらを促進させるための「公助」の取組みである金融庁の「サイバーセキュリティ対策関係者連携会議」にも参加している。また、サイバーセキュリティ等に関する専門機関である金融ISACやFISC等と連携するとともに、国や金融庁が主催する合同演習の支援にも積極的に取り組み、官民一体となって対策を進めている。
 全銀協としても、サイバー攻撃への対応を社会全体の課題と捉え、適時の注意喚起や対策の参考となる情報の提供、共有等、引き続き会員行のサポートにしっかりと取り組んで参りたい。
 もう一点は、サステナビリティ開示に関する質問だった。
 2021年12月17日、財務会計基準機構は、国際基準を策定するISSBへの意見発信や、国内基準の開発を行うための検討組織として、「SSBJ設立準備委員会」を設置しており、銀行界からも、気候変動関連情報を含む非財務情報の開示拡充や、国際的な議論に積極的に関与・貢献すべく、委員として参加している。
 ISSBが開発する開示基準は、グローバルなベースラインとなることが想定されており、国内基準の開発に当たっては、まず、このISSB基準に対して、日本の立場、考えをしっかりと発信していくことが重要である。
 そのうえで、国内基準の開発に当たっては、ISSBの国際ルールを踏まえつつも、日本の特性を踏まえた政策との整合性や、巨額の投資が必要とされる気候変動分野への円滑なグローバルマネーの呼び込み、あるいは、わが国金融資本市場の競争力といった点を踏まえて、わが国にふさわしいルールを検討していく必要があると考えている。
 財務情報に加え、今後、サステナビリティなどの非財務情報の開示の重要性が高まっていくこと自体は不可逆的な流れであるが、企業ごとに開示項目の整理を含めた準備状況は異なることが想定されることから、開示基準の適用に当たっては、段階的な導入など、運営上の柔軟性確保の検討も重要になってくると考えている。


(問)
 銀行の各種サービスの手数料について伺いたい。英語では「サービス」という言葉に「無料」のニュアンスはないことはご存じかと思うが、ほかの業界のサービスや商品に比べて、銀行が手数料を導入したり値上げする際は、ものすごく世間の反発が強い印象がある。なぜ銀行だけ世間の強い反発を招いてしまうのか。
(答)
 お客さまが、銀行とそれ以外の業界の手数料をどのように受け止めているかは存じあげないが、手数料についての基本的な考え方は、お客さまに商品やサービス内容をご理解いただいたうえで、それに見合った対価をいただくということが大原則であり、その点はどのような業界においても大きくは変わらないのではないかと思う。
 他業界と比べた場合の銀行の特徴をあえて申しあげるとすると、先月の会見でも申しあげた現金を取り扱うサービスや、税・公金の取扱いなど、銀行が提供するサービスには、公共的な色彩・性格が強い反面、そのコストを可視化して捉えにくい点があるのかもしれない。
 また、わが国においては、貸出と預金の金利差(スプレッド)がある程度確保できていた状態が長く続いていた。かつては、こうした金利収益によってサービスコストを一部賄えていた面もあったと思うので、銀行としても、お客さまに対して個別の取引ごとに手数料というかたちで可視化してご負担をお願いしてこなかったという歴史的な経緯もあるかもしれない。
 ただ、今のような低金利環境が長期化し、かつ、金融のアンバンドリングが急速に進んでいる状況においては、金利収益だけでコストを賄っていくという考え方は持続的ではないだろう。
 これはあくまで一つの考え方に過ぎないが、いずれにせよ、お客さまにご負担をお願いする場合には、その対価性についてしっかりとご納得いただけるような商品、サービスを提供したうえで、丁寧に説明していくことが重要だと考えている。


(問)
 二点伺う。1点目は、本日、日本銀行が公表した資金循環統計で、個人金融資産が初めて2,000兆円を超えたことについて。過半を占めているのは現預金であり、銀行としても預金の増加傾向が続いている点は悩ましい面もあるかと思うが、個人金融資産の現状をどう見ているか。また、株式や投資信託の比率は低いままだが、これに対する必要な取組などについて考えはあるか。
 2点目は、先ほど資源価格の高騰について話があったが、これに加えて、足元では円安が進んでおり、さらに輸入物価を押しあげることになるかと思う。現在の円安について、経済への影響などについてどうみているか、所見をお願いしたい。
(答)
 ご指摘のとおり、今朝、日本銀行が公表した資金循環統計によれば、個人金融資産が2,000兆円を超えた。2021年9月末時点では2,000兆円を少し下回る状況であったわけだが、今回2,000兆円を超えることとなった。ご指摘のとおり、現預金が過半を占めるという状況も継続している。
 1月の会見でも申しあげたとおり、NISA、つみたてNISAあるいはiDeCoといった資産形成を促すための制度が整備されてきているが、いまだに投資を始めることにハードルを感じている方も多く、貯蓄から資産形成の動きは、まだまだ道半ばであると認識している。
 このような状況を改善していくためには、各行がお客さまごとのニーズに応じたコンサルティングサービスの提供や、取引の利便性向上、少額から手軽に資産形成に取り組める商品・サービスの拡充などに努め、資産形成を始めやすい環境を整備していくことがまずは重要ではないかと思う。
 また、お客さまに資産形成や資産運用のみならず、そのベースとなる計画的な生活設計や家計管理なども含めた生活スキルとしての金融リテラシーを身につけていただくために、金融経済教育に取り組んでいくことも非常に重要であろうと思う。そのためには、業界横断的な連携も効果的と考え、すでに発表したとおり、2021年12月に全銀協は日証協と金融経済教育の推進などに関するMOUを締結した。
 これらは、いずれも地道な取組みの積み重ねであるが、銀行界としては、わが国の貯蓄から資産形成の流れを推進していけるよう、日証協との連携も梃子にして、引き続きしっかりと取り組んで参りたい。
 もう一つ、円安をどう捉えるかということだが、為替相場は一つの要因だけで動いているものではなく、なかなかお答えが難しい部分がある。確かに足元、円安ドル高の基調となっているが、その背景としては、高インフレが長期化するリスクに備えて、FRBが金融政策の正常化プロセスを開始したことに加え、足元のウクライナ情勢の深刻化によるドル需要の高まりなど、複合的な要因が絡み合って形成されているものと受け止めている。
 円安による影響を一般的に申しあげると、企業収益への影響については、内需型企業か輸出型企業か、さらには海外生産比率などによって異なるため、なかなか一概には申しあげられないが、全体としてみると、円安ドル高基調と併せて進んでいる資源価格の上昇も相まって、輸入インフレに対する懸念があるのではないかと思われる。
 輸入インフレが長期化した場合には、コストの転嫁が進まないことによる企業収益の下押しや、ガソリンや電気代の値上げにより個人消費にも悪影響を及ぼす恐れがあり、企業、家計のセンチメントの変化によく目配りしたうえで、足元の円安傾向の影響について検証していくことが非常に重要になってくると考えている。